Vol.21 「アサーティブトレーナー養成講座を修了して」
私にとってアサーティブネスとは、自分が「自分らしく」いられるうえに、自分と相手とのよりよい関係を築いていける「架け橋」だと考えています。
そもそも自分が自分らしくあること…というのは、難しいことであると思われがちです。以前、私もそう思っていました。ついつい波風を立たせないように…と、他の人にあわせてしまったり、無理をしてフラストレーションがたまったり、無力感に陥ってしまったこともあります。
私は親に口出しするなんてもってのほか!という家庭に育ち、母には言いたいことは何一つ言えませんでした。
言えないというよりも言うと倍になってかえってくるという状況でした。そのため、いつでも自分の気持ちは後回しで、考えていることや思っていることの上から頑丈な蓋をして生きてきました。
私は、一番身近な「家庭」という場所でコミュニケーションがとれずに自分を出せずに育ってきたことと転勤して歩いてきたということで、よりよい人間関係を築くことの大切さを人一倍感じてきたのだと思います。考え方や感じ方は皆違ってそれでいいのです。
でも、なかなかそのことに気がつかずに私たちは生きてしまっているのかもしれません。
私は私でOK、あなたはあなたでOK、私とあなたは違うのだということがわかると、自分も相手も大切にできるのだと思います。そして、人は皆違うからこそ、お互いに向き合うことが必要なのだと考えます。自分も相手も尊重しつつ、自分の考えや気持ちを「誠実」「率直」「対等」に相手に伝え、さらに自分で責任を持つこと…このことをアサーティブネス・トレーニングは教えてくれました。
自分の考えや気持ちに正直に生き、無理のない人間関係を築いていくこと・・・本来、当たり前のことかもしれませんが、今の時代にもっとも求められていることなのかもしれません。
「本当の贅沢というものは、たったひとつしかない。それは人間関係に恵まれることだ」とサン=テグジュペリは言っています。人間関係の半分は自分の問題。よりよい人間関係を築く責任は自分自身が負っていることになります。「今、私は何を思い、何を感じているのか?」そして、今ある考えや気持ちを伝えていくのは自分自身でなければできません。そして、それを伝える際には相手がいないとできないことです。私も含め多くの人がアサーティブネスを活かして、「ワガママではなくあるがままの自分」に近づけるようになれれば・・・と願っています。
アサーティブネスの理論という支えを学び、トレーニングを通して実践を積んでいくことで「自分らしさ」の再発見ができると思います。私は、自分の経験を通して学んだことや感じたことを通してアサーティブネス・トレーニングを多くの人に伝えていきたいと思っています。そして「この世の中、コミュニケーション一つで防げるトラブルがいかに多いか」を少しでも知ってもらい、何かの役に立てられれば・・・と思っています。
Vol.22 「苦手な人とも関係を改善」
以下は、スイミングスクール中、子どもを待っている母親同士の会話の再現です。
■母A「もぐれるようになるまでが大変なのよね」
■母B「お金かかるけどさ、私に怒られながら壁を乗り越えるより、コーチにほめられながら乗り越えるほうがいいからね~」
■母C「気が付くと、言っちゃ駄目なことばっかり言ってるの」
■母A「そうそう、私も。うちは特に勉強の時とかさ」
これって、母ならばどんなに子どものことを愛しく思っている人でも、ほとんどの人が身に覚えがあるでしょう?
ここにでてきたお母さん達はとても教育熱心で本やテレビなどを通し、理想的な子育てについていろんな知識を身につけ頭ではわかっているのですが、いざ実践となると、なかなか難しいことを物語っています。
そう、上手なコミュミケーション方法を身につけるためにはトレーニングが必要なのです。みんながアサーションを知っていたらな~と感じた、ごく最近の出来事を書いてみました。
私自身、アサーティブ・トレーニングを通じ、自分の気持ちや考えをまっすぐに表現することができるようになってくることで、以前の自分よりストレスを抱えることが少なくなり、時には強すぎるキャラクターゆえに苦手だと思い込んでいた人とも関係を改善することができるようになりました。何かと生きにくい世の中。あなたの問題解決のヒントも、アサーションの中に隠れているかもしれませんよ。
Vol.23 「アサーティブトレーナー養成講座を修了して」
私がアサーティブを学び始めたのは、人前で話すのが苦手で自分の気持ちを表現できるようになりたいという気持ちからでした。講座を通して気づいたことは、いつもまわりを気にしすぎて、自分の感情を抑え込んでいる自分がいたことです。自己表現する前に、自分の気持ちもはっきり把握できていなかったこと。また、自分が自分自身を避けて、本当はまわりの人と近づきたいのに、私が距離をとっていたということです。
そのことに気づいてから、自分の気持ちをありのままに受け止め、オープンに感情を出すことに努めました。
そして、相手に気持ちを伝えていくときには、Iメッセージが大切だということを知りました。はじめは、自分の気持ちを言うことに慣れていなかったのでドキドキしましたが、ロールプレイで相手の方が感情の言葉を語ってくれると、その方の「素顔」に触れたような気持ちになり、ホッと安心し私も言ってみようという勇気が出ました。
「いつもいい人でいなくては」と心の奥底で思っていた私は、言いにくいことを伝えるときには、言葉と表情を一致させることも難しいなと感じましたが、自分自身を見つめ、トレーニングを重ねていくうちに、ネガティブな気持ちも表現していくことが少しずつできるようになってきました。視点を変えると、目の前の景色が変わりました。
ネガティブな感情があってもいいと思えたら、心が楽になり、自己を肯定していくと、相手の違いも認めながら受け入れることができました。
私が一番好きな学びは、「ほめるほめられる」です。私の良いところを見つけて褒めて下さり、新しい自分に出会ったような嬉しい気持ちになりました。「ほめるほめられる」とは、「与え与えられる」関係。まるでプレゼントを交換するようで、自己肯定感を高めていくことができます。一番印象に残っている言葉は、苦境のとき、大切なのは「何が起きたか」ではなく、「どう対処するか」ということです。自分というもう一人の自分とどう付き合っていくかが大切ですべての始まりは、自分なのですね。一つ一つの出来事には意味があり、自分を豊かにしてくれるもの、そう受けとめられるようになって、私は今幸せを感じます。感謝の気持ちを忘れずに、人との出会いを大切にしていきたいです。
この一年は楽しく、私にとって財産です。これまで暖かく見守って下さった講師の方々、ご一緒させていただいた受講生の皆さんに感謝申し上げます。
Vol.24 「アサーティブトレーニングと私」
このたび、5日間という集中したアサーティブトレーナー養成講座をうけましたが、この5日間は私の人生にとって最も大切な時間の一つだと感じています。
アサーティブという言葉と出会って約27年。アメリカで最初のアサーティブトレーニングを受けました。それは日本人の私にとっては衝撃的な出来事でした。ただその技術がそれからの私のアメリカでの生活にとても役に立ったことは言うまでもありません。
ただ、日本に戻ってくるたびに、「そんな自分が日本で受け入れられるのか?」、「日本ではアサーティブであることがどんな風に思われるんだろう?」と、疑問や不安がずっとありました。
そんな中で今回のトレーニングを受け、日本人としてアサーティブであることの大切さ、また日本の文化や慣習を理解した上でのトレーニング法を体感できたと思っています。
特に印象に残っているものとしては、実際にボールを投げながらの会話や、怒りの感情を絵にしてイメージしてみること、またロールプレイでどんどんクライアントさんの真の感情が引き出され本人の気づきを促していくプロセスなど、実際に体験しなければわからないことがたくさんありました。
今後の抱負といたしましては、今回学んだアサーティブの手法を軸とし、アメリカで身につけてきたもの、また「怒り」のコントロールに焦点を絞った「アンガー・マネジメント」も取り入れながら、日本国内で少しでも多くの人たちの助けになれればと心から願っております。
自己の正直な感情に気づき、自分を大切にすること、また自分だけではなく周りの人たちの権利も尊重すること、その上でもっとも効果的なコミュニケーションの仕方を身につけることで、人が自分自身に自信を持ち、よりよい人間関係を築いていけるようになると信じています。
葛西祥子 (カリフォルニア 2010年 夏期集中講座受講)
岩手県出身。学生の時にアメリカに留学し、現在はカリフォルニアで国際ビジネスコーディネーションの小さな会社を経営。
留学中に出会った「アサーティブ・トレーニング」や、「怒り」に焦点をあてた「アンガー・マネジメント」を日本人の皆さまに知って欲しいと思い日本とアメリカで活動中。
「同じ状況の中」にあっても、ちょっとした感情コントロールや効果的なコミュニケーション法を身につけるだけで、人間関係や仕事の生産性などがぐんと変わってくることをより多くの人達に実感して欲しいと願っている。
AHC認定トレーナー、日本アンガーマネジメントセンター認定ファシリテーター、ナショナルアンガーマネジメント協会(米国)認定スペシャリスト、サンディエゴ大学アサーティブコース修了
連絡先:angerm_kasai@live.com
Vol.25 「メンズクラブに参加して」
メンズクラブ(アサーティブ)を受講し、だんだん自分の意見を言えるようになってきました。そんな自分がうれしいですね。
昔は、些細なことも言えず、影で文句を言っていました。
例えば、某ファーストフード店で頼んだジュースが、氷だらけでほとんどジュースが入っていないときも、その場では言えず、後で「なんだこの店は!氷ばかりでひどい店だ」なんて友人に言っていました。
いまでは普通に「氷少なめでお願いします」なんて言えるようになりました。
あたりまえのことなんですけど、氷が多いなんて文句つけるなんて、貧乏くさい人だなあって思われるような気がして、ずっと言えませんでした。でも、それってただの思い込みなんですよね。
ロールプレイで店員をやってみて、店員の気持ちを考えると、「貧乏くさい」なんて思わないということが体感できてびっくりしました。
こういう事には、ロールプレイは非常に効果がありますね。
どんどん勝手な思い込みをなくしていけそうです。
Vol.26 「父へのプレゼント」
先日、父へのプレゼントを買いに行きました。
シャツを買おうと思ったのですが、店員さんが父の80歳という年齢を聞き、何点か勧めてくれたものが、どうしても気に入りませんでした。
でも自分がいいな、と思ったものはひょっとしたら、父にはちょっと派手で合わないかも、と思い迷ってしまいました。
以前でしたら、店員さんが熱心に勧めてくれるものを断るのはとても苦手で、あまり気にいらなくても買ってしまったりしていたのですが、結局 アイメッセージで「私はこれがよいと思いますので」と、アサーティブな一言を店員さんに言って、自分の選んだものを買いました。
そしてプレゼントを渡したところ、父も若々しく見えるシャツにとても喜んでくれましたし、私も、自分の気持ちを大切にして選ぶことができた、ということでとてもすっきりした気持ちでいることができました。
Vol.27 「日々のアサーティブ」
夕方、スーパーで買い物中にご近所の友人から会いたいと電話がありました。
すぐに精算を済ませ、待ち合わせのコーヒーショップに向かいました。その時、うっかり冷凍食品を買ってしまったことに気付きました。迷ったのですが、ちょっと気になったので、「うっかり買ってしまったので、30分くらいね」ということができました。
冷凍食品のことを気にせずに楽しくお話をし、別れました。
些細なことですが、アサーティブに言えてよかったと思いました。
Vol.28 「届かなかった荷物」
先日、頼んでいた荷物が届かないことがありました。いつ来るかわからない荷物を待って、結局一日つぶしてしまった結果になり、落胆とともに怒りがふつふつとわいてきました。次の日に早速カスタマーセンターに電話をかけようとして、はたと考えました。
今の私が電話をしたら、怒りだけを相手にぶつけて「荷物を早く正確に届けてほしい」という、本当の気持ちが伝わらないのではないかと。
時間をおいて気持ちを整理して、「がっかりしたこと。荷物が届かなくて困ったこと」などを伝えたところ、その日のうちに荷物を受け取ることが出来ました。
ひと呼吸おいて自分の気持ちに気づくことの大切さを実感しました。
Vol.29 「怒るということ」
アサーティブをやり始める前は、「怒る」ということがあまりよくわからない感情でした。怒ることがなかったわけではないのでしょうが、怒っても仕方がないという諦めの気持ちも入り、怒るという行動を選びませんでした。
アサーティブを始めてから、「自分は今、むっとした」と気づくようになりました。そして、自分が怒るのは自分のことではなく自分の好きな人に何かがあると弱いのだと自分のパターンもわかってきました。怒ることも良いとわかったものの怒り方がわからず、3年前のお正月、いとこに自分の感情だけをぶつけてしまって失敗してしまいました。ポイントもならったはずなのに、慣れないことをやったことだけで必死で「怒っている」と相手に感情を投げつけただけになってしまいました。いまだに、そのいとことは話もできませんが、やり直すこともできると習ったので、もう少し勉強していとこと向かい合ってみようと思います。
Vol.30 「頼りすぎないアサーティブ」
保険の代理店の仕事を始めて10ヶ月が過ぎました。
男性ばかりの中で主張するべきところはしなければと、頑張っていました。特に常に隣で仕事を教えてくれる上司は、日によって態度がころころ変わります。バウンダリーを引くことも忘れてしまうほど振り回されている自分がいました。でも頑張って自分の気持ちを伝えていました。
ところが、つい最近「彼の言葉には大きな意味はなく情緒不安定なのだからそれに付き合う必要はないんだ」と、ふと思いました。すると、ふっと力が抜けてバウンダリーが引けている自分がいました。
そのとき、私はアサーティブであろうと、無理をしていたことに気がついたのです。先日その上司に「情緒不安定ですね」というと笑いながら「いつもそうだよ」と答えてくれました。